この記事の要点
- 胸やけ・喉のつかえ・呑酸(酸っぱいものが上がる)が続くときは、まず消化器内科などの医療機関で確認するのが出発点です
- ストレスは炎症そのものを起こすというより、症状の感じ方を強めたり、生活習慣を通して悪化に関わると考えられています
- 生活面では食後の姿勢・寝るときの傾斜・腹圧・食事の内容と時間帯の4つが扱いやすい部分です
- 食事を抜くこと(空腹)も負担になります。減らすより「内容を変える」ほうが現実的です
まず受診
自己判断で決めない
2〜3時間
食後に横にならない時間
10〜15cm
寝るとき上半身を上げる目安
この記事の位置づけ
そのうえでこの記事は、「ストレスとどう関係しているのか」と「生活の中で自分に扱える部分はどこか」を整理するために書いています。医療でしか扱えない部分と、自分で調整できる部分を切り分けておくと、抱え込む量が減ります。
どんな症状が出るのか
胃酸が食道側に上がってくることで起こる症状として、一般に次のようなものが知られています。
痛みというより「ずっと気持ちが悪い」が続くのがつらいところで、休んでも休んだ気がしない、という感覚につながりやすい症状です。夜、横になると強くなる人もいます。
なお、内視鏡検査で炎症が見つからないのに症状だけが強いというケースもあり、こうした状態は別の名前で呼ばれます。ここは自己判断で切り分けられる部分ではないので、「炎症があるかどうか」は検査で確認するものと考えてください。
ストレスとの関係
「ストレスが逆流性食道炎を起こす」という一方向の話ではありません。関わり方はいくつかあると考えられています。
感じ方が強くなる
知覚の側
強い緊張が続いていると、食道の感覚が敏感になり、同じ量の逆流でも症状として強く感じられることがあると言われています。検査所見と自覚症状の強さが一致しないことがあるのは、このためと説明されることがあります。
自律神経を通して
体の調節
消化管の動きは自律神経の調節を受けています。緊張が続く状態は、胃の内容物の送り出しや食道の動きに影響しうるとされています。自律神経の乱れを整えるもあわせてどうぞ。
生活習慣を通して
いちばん扱いやすい
忙しさやストレスは、早食い・夜遅い食事・飲酒・コーヒーの増加・睡眠不足を連れてきます。ここは間接的ですが、自分で変えられる部分がいちばん多い経路です。
症状が不安を呼ぶ
逆向きの流れ
喉の違和感が続くと「悪い病気ではないか」と気になり、その心配がさらに緊張を高める——という向きの流れもあります。受診して状態をはっきりさせること自体が、この輪を切る役割を持ちます。
見逃したくないサイン
胸やけと似た症状が、別の病気のサインであることもあります。「ストレスのせい」で片づけないことが、この章でいちばん伝えたい点です。
姿勢とタイミングでできること
食べ物の内容より先に、こちらのほうが体感が変わりやすいという人もいます。どれもお金がかからず、今日から試せます。
- 食後2〜3時間は横にならない。夕食から就寝までの間隔を空けるのが基本です
- 寝るとき、上半身側に傾斜をつける。枕を高くするより、マットレスの下に何かを挟んで上半身側を10〜15cmほど上げるほうが向いています。枕だけだと首が曲がって、かえってお腹が圧迫されることがあります
- ベルトや締めつける服をゆるめる。腹圧はそのまま押し上げる力になります
- 1回の量を減らして、回数を分ける。早食い・大食いは胃に長く残りやすくなります
- 食後すぐの前かがみ作業を避ける。靴ひも、掃除、庭仕事など
負担になりやすい食べ物・飲み物
リストを丸暗記するより、なぜ負担になりやすいのかを3つに分けて覚えると、書いていない食べ物も自分で見当がつきます。合う・合わないには個人差があるので、自分に当てはまるものだけ調整すれば十分です。
① 食道と胃の境目の締まりをゆるめやすいもの
- 脂の多いもの(揚げ物、脂身、生クリーム、バター)
- チョコレート
- カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク)
- アルコール
- ミント・ペパーミント(さっぱりする印象がありますが、この分類に入ります)
② 胃酸の分泌を増やしやすいもの
- 脂の多いもの、香辛料の強いもの(唐辛子、カレーなど)
- アルコール、カフェイン
③ 荒れているときに、しみやすいもの
- 柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ポン酢)
- トマト系(トマトジュース、ケチャップ、パスタソース)
- 酢の物、酸味の強いドレッシング
- 炭酸飲料(げっぷとともに胃の中身が押し上げられることがあります)
空腹も負担になります
「悪いものを食べないように」と考えていくと、食べる量自体を減らす方向に行きがちです。忙しい時期や、大事な予定の前に食事を抜く、という形をとる人もいます。
ただ、胃が空の時間が長いことも、それ自体が負担になりえます。胃酸は食べ物が入っていなくても分泌されるためです。
減らすより、内容を変える。
脂と刺激を避けつつ、消化の負担が軽いものを少量ずつ入れておくほうが、結果的に楽になることがあります。ゼリー飲料、うどん、おかゆ、豆腐などは、この目的に使いやすい選択肢です。
※ 持病がある方、体重が落ちてきている方、妊娠中の方は、食事の量やタイミングを自分で大きく変える前に、かかっている医療機関にご相談ください。
やらなくていいこと
一生この食事、ではありません。つらい時期に、負担の大きいものを減らすだけです。
- リストにあるものを一切食べない生活を続ける
- 症状が落ち着いてからも制限を続ける
- 食べたものを毎日きっちり記録する
- ストレスをゼロにしようとする(それができれば苦労しません)
受診を考えたい目安
次のような場合は、生活の工夫だけで様子を見るより、医療機関で相談したほうが早く楽になる可能性があります。
診療科としては内科・消化器内科が窓口になります。背景に強いストレスがある場合でも、まず体の側を確認しておくと、切り分けがはっきりします。何をどう治療するかは、診察と検査にもとづく医師の判断になります。受診ガイドも参考にしてください。
胃腸の不調全般についてはストレスで胃腸の不調が続く時に、動悸や息苦しさが重なる場合は動悸がする時にもあわせてどうぞ。